第五回 名残りの月
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はじめはかつがれてるんじゃないかと思いました
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様々な苦労の末月姫は完成したわけですが、
はじめは売れ行き等いかがでしたか
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武内 |
はじめ作った枚数(註1)ですら売り切れるかどうか
不安だったんで(笑)1年くらいかけて
これだけいけばいいかな、と
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奈須 |
ゆっくり売っていこうと思ってましたね
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武内 |
それが、すぐなくなってしまった
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奈須 |
はじめはその、嬉しい悲鳴というより
かつがれてるんじゃないかって(笑)
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武内 |
当時は嬉しかったんですけど、
今の方がむしろかつがれてるんじゃないかって
感じですね(笑)今、月姫オンリーイベントを開催したい(註2)
というお話を頂いているのですが。
「すげぇー!!」っていう反面
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奈須 |
それこそ、かつがれてるんじゃないかっていう
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一同 |
(笑)
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武内 |
ただ、あの頃はまだ勤めてましたんで、
ショップへの対応とかはかなり辛かったですね
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奈須 |
1月から3月にかけては、結局事務処理しか
できませんでした。「歌月十夜」を作るとか
言っときながら、話し合いもできない状況で。
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武内 |
結局、そういった状況をすべてOKSG君に引き継いで
もらう形になって、随分と楽になったんですけど。
まだ自分が勤めていた頃はOKSG君も結構時間の
融通のきく仕事だったんですよ。それもあったんで
できれば専念してもらいたいな、と
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OKSG |
自分が引き受けてその分二人に他の仕事に専念して
もらえるなら、それはもう自分が引き受けましょう、と。
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システムあってこそのシナリオの評価
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「月姫」はどういったところがユーザーの皆様に
評価されたのだと思いますか?
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武内 |
やっぱりシナリオでしょうね。シナリオがいいというのは
自分たちもそう思って作ってましたし、そこを面白いと
言ってもらえるのは嬉しいです。
ただ、シナリオを読んでもらえたというのにはやっぱり、
システムがしっかりしていたというのがあると思います。
月姫は奇跡的なバランスですごくいいものに
仕上がっているんじゃないかと思うんですね。曲にしてみても
サウンド担当がすごく忙しくて、はじめから書き下ろして
もらった曲っていうのは実は少なかったりします。
彼が昔作った曲を月姫用にアレンジしてもらったものが、
雰囲気に非常に合ってくれた。
あと、「Nscripter」(註3)というフリーのツールを
使わせてもらってるんですけども、あれが非常にできがいい
ツールだったというのもありますね。そういう部分で、
シナリオを読んでもらうことに集中できるよう、非常にうまく
できあがっていたからこそのシナリオの評価なのかな、
と思いますね。
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ファンディスクだと思って購入した人が
「うそ!?」と驚くようなものを作りたい
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「歌月十夜」についておうかがしたいのですが
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武内 |
うーん、苦労してます(笑)思ったより時間がなかったですね。
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収録する作品をHPで募集しておられましたが
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武内 |
はい。月姫を楽しんでくれた方のものを募集してますので、
そういう意味ではすごく面白いモノができそうだというのは
ありますね。月姫を見て創作系の人が結構刺激を
受けてくれたみたいで。そういう方の投稿もあったり。
あとはゲストの原稿などでもすばらしい絵をいただきまして。
それに負けないようにがんばっているという感じですね
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「TYPE−MOON」は月姫を作るために立ち上げた
サークルだったわけですが、歌月十夜の後は
どうなるのでしょうか
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武内 |
今のところ未定ですね。まあ、ぶっちゃけた話
次回作の構想自体はあるんですけれども、
これからどうなるかはちょっとわからないですね
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奈須 |
すべてはお祭り(「歌月十夜」のこと)を成功させた後ですね。
成功といっても「完成するかどうか」っていう、
ミニマムなところの話なのですが(笑)
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武内 |
まあ、自分達が納得できるものを
ちゃんと作れるかどうかってとこですね
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奈須 |
TYPE−MOONはユーザーが甘く見ているのを
びっくりさせたい、というのが根底にありまして。
今回も「お祭り」と言っておきながら、しっかりした物を
形にしたいなと。ファンディスクだと思って購入した方が
「うそ!?」と驚くような、そういうものを作りたい
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武内 |
色々な要素を詰め込みたいとはじめは思っていたんですよ。
「こういうものが欲しい」という要望が多く来ましたので。
たとえばさつきのシナリオであったりとか。なるべく
応えていこうと思ったんですけど。「歌月十夜」で
これをやろう、という部分を中心に考えていった場合、
やっぱり不要な部分というのがあるんですよ。
それと、時間的に無理な部分というのがやっぱりあって。
結局、できないということで切り落としてしまったんですけども。
その分まとまりが良くなったのかな、とは思いますね
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奈須 |
形としては美しい
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なるほど。かなり期待していいわけですね?
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奈須&武内 |
いやいやいやいや!お祭りはお祭り(註4)
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武内 |
単純に、過剰な期待はしないで欲しいんです。
「歌月十夜」は基本的には、月姫を楽しんでくれた皆様への
最後のサービスみたいなものですから
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奈須 |
「歌月十夜」は基本的に馬鹿話の集合体なんで
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武内 |
ちょっと難しい位置付けになってしまったというのは
あるんですね。はじめは分けようと思ったんですよ。
ここまでは月姫の正当な話、ここからははっちゃけた
なんでもありの部分。という風に分けようと思ったんですけど
それがややこしくなってしまったんで結局なんでもありだけで
まとめたんですよ。そんな感じなんでまあ、
基本的には面白おかしく
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「お祭り」として楽しんでください、というスタンスで
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武内 |
そうですね
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「月姫2」はザッピングシステムADV?
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編集 |
くだんの「月姫2」についてお聞きしたいのですが
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武内 |
まあ、ヨタ話ですね。完全に。流れも見えてない
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奈須 |
ただ、こう始まってこう終わるっていうのは、
もうできてるじゃない
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武内 |
うん・・まあ・・・
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奈須 |
今回は主人公を2人にして
ザッピングシステム(註5)にしようとか
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一同 |
(笑)
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武内 |
すごい細かいとこで決まってたりはします。
やりたいなっていう気持ちは、ないことはないんですけど。
もともと、(資料集の)用語辞典を作っていた時に
「死徒が27人いるから、それちょっと考えてよ」
と言ったのがはじまりなんです。そうしたら奈須が
「ちょっと考えてるんだけど、面白くなってきたよ。
月姫2見えてきたよ!」って言い出して(笑)
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27祖は最初から決まっていたわけではなく、
資料集作成の最中に決めていたと
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奈須 |
10人くらいは頭にあったんですよ。で、全部作ることになって、
以前没になったキャラクターとか、ちょっと遊び心をきかせて、
某タイプ・マアキュリー(註6)さんを入れてみようとか、
まあやってたわけです。
で、これがこういう風にあるならこういう話をしたら
すごく面白いぞ。これを「月姫2」にしよう、という
ヨタ話というか、馬鹿話が結構なところまで
できあがってしまったんですが
「これはもう月姫じゃないだろう」と(笑)
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一同 |
(笑)
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OKSG |
もしやっても恋愛物には絶対ならないだろうと
聞いていたんですけど。女の子出ないんですか?
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武内 |
え、嘘。そうなの?
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奈須 |
えー、3、4人ほど
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武内 |
アルトルージュがヒロインなんよね。
それだけは聞いてるんだけど
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奈須 |
馬鹿話だから・・・いいかな?
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武内 |
まあ、やめときましょう。
本気にとられると困るんで(笑)
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to be continued…
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