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第一回 月姫前夜
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「消しゴム貸して」と言った相手が、彼でした(笑)
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まず、お二人の馴れ初めからお聞きしたいのですが
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奈須
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あんまり面白い話じゃないと思うんですが
中学校が一緒だったんですよ。
自分、忘れ物多くて、中学一年の新しい教室で
消しゴム忘れちゃって。隣りの席見て
「悪い、消しゴム貸して」
と言った相手が、彼でした(笑)
ここから腐れ縁が始まったというか・・・
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武内
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昔、奈須はすごい早口で
「消しゴム貸して」
って言ってるの、わかんなかったんですよ。
「え?何?」みたいな。
それで妙に憶えてるんですよね
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その頃はまだただの同級生だったのでしょうか。
それともなにか・・・
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武内
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自分はガキの頃から結構小説とか読んでたんです。
で、奈須にすすめたんですが
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奈須
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自分はそれまで小説は読んでなかったんですよ。
武内君とつきあっていくうちにマンガの趣味とかも合って
「ああ、なんか面白いなあ」と。
それである時、菊地秀行(註1)さんの
「エイリアン秘宝街」という小説を貸してもらって、
ものすごくはまっちゃって。
「小説貸してくれー」ってなって。
で、まあ、好きになると書きたくなってくるもので
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小説を書くようになったきっかけは菊地秀行である、と
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奈須
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ええ。影響を受けた作家さんとなると菊地さんは入りますね
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はじめは創作活動。
少年向け創作とかやってました
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「TYPE−MOON」結成前のお二人のサークル活動は
どのようなものだったのでしょうか?
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奈須
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TYPE−MOONの前は「竹箒」(註2)でやって
いたんですが、そこからになるのかな?
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武内
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サークルといえば特にサークル活動と
いうわけじゃないんですけど、中学の時の仲間たちで
集まってテーブルトークRPG(註3)をやっていたというのが
一番古いですかね。
自分が一度広島の方で就職しまして、その後帰ってきて
別の会社に就職したんですが、そこで知り合った方々が
同人をやっていて、それに誘われる感じで
同人活動を開始しました。で、自分が開始した活動に
奈須を誘って。はじめは創作活動ですね。
コミティア(註4)とか。で、少年向け創作とか
やってたんですけど、1年間くらいその手の活動を
していた後に「TYPE−MOON」を立ち上げた、
という感じですね
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TYPE−MOON以前の活動は
コミティアなどの創作系イベントが主であったと
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武内
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そうですね、コミティアと、あとコミケです。
はじめは別の方のサークルと一緒にやっていたんですけど
途中からは分かれて、という感じですね
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奈須
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TYPE−MOONを立ち上げる前までは、
その方と一緒にやってたんですよ。
ただまあ、あちらも忙しくてゲーム作りには関われない。
月姫を作り始めたら他のことはできないんで
じゃあ、ちょうどいいし、ここで分かれよう、と。
で、分かれて、今に至ります
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短かくて読みやすいものと言ったのに・・・(武内)
これは今までの自分の転機になると思ったんです(奈須)
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コミティアでは武内さんはオリジナルのマンガを、
奈須さんは小説を発表されていたと
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奈須
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当時自分は一年間に一本、投稿用の小説を
書いていたんですよ。書くんですけど、
いつも規定の枚数をオーバーしちゃって(笑)
でまあ、今年はこれでいいや、と。
そういう日々を過ごしていた時に
武内君が広島から帰ってきまして。
HPを立ち上げるので、なんかやれと言われて。
「それじゃ連載物をやらせてくれー」と軽い気持ちで言って
あれ(「空の境界」の掲載)を始めたんです。
ちょうどそれが武内君がコミティアに初めて参加する
ちょっと前のことでして。じゃあ、コミティアで作品を出すから
掲載していた小説をちょっとまとめて出そうとして、
まあ、出したり出さなかったり(註5)
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武内
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HPで配信すれば(奈須の小説を)読んでもらえるかな、
と思ってたんですよ。もちろん、読んでくれる方は
しっかり読んでくれるんですけど・・・
HPで掲載する小説っていうのはなかなか読みにくいのかな、
というのがありました。コミティアで売った時も
それほどいい反応ではなかったです。
というかですね、
「短いもので、かつ読みやすいもの」と言ったのに・・・
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一同
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(苦笑)(註6)
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奈須
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いや、それはですね。
連載物という話になった時に短編で毎回別々の話を作ると
絶対息切れすると思ったんですよ。それだったら
大きい話を考えて、その中でエピソードをぶつ切りにして
形にしていこう。それで一話完結にしていけば
軽い気持ちで書けるな、と。はじめはそういう気持ちで
書いてたんです。でも、三話ぐらいまで書いて
なんかすごい自分で気に入っちゃって。
「あ、これは今までの自分の転機になるな」と。
それで力を入れて書き始めちゃって
だんだんマニアックなものに・・・(笑)
まあ、そんな感じです。
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(サークル名は)5秒くらいで決まりました(笑)
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「TYPE−MOON」というサークル名、
これは奈須さんがつけたと聞いたのですが、
サークル名に込めた想いや意味がありましたら
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奈須
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想いは・・・ホントに無いんですけど(笑)
はじめまあ、サークル名を決めようということになって。
ケンケンゴウゴウくだらないことを言い合ってたんですが、
やっぱり決まらない。で、ちょうど、まあ、同人誌で
「Angel Voice」というのを出してまして、
そこで「Angel notes」(註7)というものを
書いてたんです。それでまあ、敵の中で、実は、
「タイプ・ムーン」ていう隠しがいるんだよ、という話をして。
じゃあちょうどいいじゃん、TYPE−MOONにしよう、と。
5秒くらいで決まりました(笑)
でもまあ、当時はホントに(このサークルは)
月姫を作っておしまい、という感じですから、
その方が潔いというか。みんな馬鹿なことばっか
言ってたんで決まんなかったんですよ。
「ファンキー太陽」とかそういうサークル名ばかり言って(笑)
それだったらまあ、TYPE−MOONの方が地味だけど
憶えやすいし、綺麗だな、ということで
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武内
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「とりあえず月にちなんだものにしよう」って言ってて、
じゃあ「タイプ・ムーン」だけ決まってないから
これにしようかと
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奈須
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いや、「タイプ・ムーン」は完璧に決まってる
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武内
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え、決まってるんだっけ?
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奈須
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うん
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ちなみに、「タイプ・ムーン」というのは
どのようなアリストテレス(註8)だったのでしょうか
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奈須
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ようするに、まあ、えー・・・
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奈須
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・・・ということを考えていたりいなかったり(註9)
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なるほど
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武内
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でも今聞くと笑っちゃうよね
「タイプ・ムーン!」
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一同
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(爆笑)
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奈須
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でまあ、そういうその・・・(註10)
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to be continued…
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