第六回 閑話2
|
※注意!
第六回は漢話月姫全編を通して最もデンジャーです。
月姫とその周辺を十二分に堪能した人だけ見てください。
中でも「TYPE−MOON」HPの「スタッフ座談会」は必見です。
内容に目を通して後悔しても当方では一切の責任を負いかねます。
|
|
「高田君が事故った」
|
編集 |
「月姫」に関する疑問点やツッコミなど、お答えいただける
範囲でお願いします。まず、件の高田・・
|
一同 |
(爆笑)
|
編集 |
・・陽一氏(註1)についてお聞きしたいのですが
|
奈須 |
か、彼はその、最初は軽い気持ちというか、お遊び気分で
名前を使ったんですが・・・それがなぜここまで(笑)
ただ、高田君っていうのは、とてもマンガ的なキャラで
話にしやすいというか・・・
これ以上は本人の名誉に関わるので(笑)
|
武内 |
わかってる人間にとってはあれは爆笑ものだったよねー。
「高田君が事故った」みたいな(笑)
|
奈須 |
皆さんもよくあんなことに反応したなあと(笑)
|
編集 |
高田さんとはどのようなご関係で
|
奈須 |
彼ともその、同じ中学校だったんですよ。
テーブルトーク(註2)仲間で、自分がマスター(註3)
をやっているグループでずっとやっていて。
今でもつきあってる友人なんですよ。まあ、すごく
人がいいというか心が広いというか。自分は私生活で
すごくお世話になっていて、わがままを聞いてもらってる人で。
恩返しではないですが名前を出しとこうかな、と。
それだけの軽い気持ちだったんですが・・・
おそろしいですね(笑)
|
|
志貴っちと有っち
|
編集 |
有彦と志貴が仲良くなったきっかけを
|
奈須 |
できれば本編でやりたかったんですよ。
秋葉ルートで丸一日没になった日がありまして。
有彦が噛まれてしまって彼と殺し合う、という話が
あったんです。そこでやる予定だったんですが。
(2人がマブになるエピソードは)
本当にかっきり決まってまして。個人的には「歌月十夜」の
方で是非やりたいですね。あの二人の関係というのはまあ、
なかなかに面白いと思うので
|
|
さっちんのモデル
|
編集 |
さっちん(弓塚さつき)のモデルについて・・・
|
奈須 |
それは絵的な?(笑)
|
編集 |
はい。それもありますが?(註4)
|
武内 |
「ヒカルの碁」(註5)のあかりです。すごく好きで。
30日のシナリオを10日にして再構成をかけたんですが、
中盤に盛り上がる場所を作ろうということになって。
ネロの方はすぐ決まったんですけど、秋葉ルートで
盛り上げるのはどうしよう、ってなって。
ネロと同じくらいのキャラが欲しい。はじめに考えていたのは
ホモっぽい、カヲル君(註6)みたいな生粋の殺人鬼(笑)
で、志貴の殺人鬼みたいなところを見抜くわけです。
秋葉ルートは志貴が殺人鬼かどうかわからなくなるという
ルートだったので、それに対する伏線になるかと
思ったんですよ。そんな感じで考えていたんですが
(だるそうな声で)「どうせだったら俺女の子の方がいい」って
奈須が言い出して(笑)絵的にはその時
すごくハマっていた、あかりみたいにしたいな、
っていうので描いたキャラですね
|
奈須 |
クラスメイトの女の子がいたんですよ。地味ーな子が。
この子は「日常」の大事なキーパーソンとして、立ち絵も
あったんですが、10日に締め直してサヨナラして
しまいました。それが秋葉の話になった時に
やっぱり使おう、という話になって、トントン拍子でサクっと
組みあがってしまいました
|
|
真祖アルクェイド
|
編集 |
アルクェイドは人工的に抽出された者ということですけれども
|
奈須 |
真祖というのは、一番初めの真祖以外は大なり小なり
人為的なものが含まれるんですが。アルクェイドはその中でも
本当に必要でもないのに創られた者。大抵は、そろそろ
新しい真祖という個体ができるぞ、という時に他の真祖が
「今回はこういうことなんで、こういう役割に合った者にしよう」
と言って粘土で形を造るというか、輪郭を決めるのですが。
アルクェイドは零から、本当に零から「最強の真祖を作ろう」と
えー、色々と秘密のある方が・・・(笑)
|
編集 |
これ以上は深くツッコまない方が良さそうですね(笑)
|
|
17分割の謎
|
編集 |
次にですね、このような物がありまして・・・
(プリントアウトされた紙を見せる)
|
奈須 |
うわぁー来たあ!(笑)
|
編集 |
もうご存知のことと思いますが、
例の「17分割」についてなんですけど(註7)
|
奈須 |
その・・ええ・・・・これはホントにもう、整合性より
言葉のインパクト。「17分割!」ていう(註8)
言葉にしながらもまるで絵で見るような
ショックじゃないですか。それを第一に押し出したんで。
それは17に切ったら・・・(笑)
これに関してはあえてつっこんで欲しくないな、と
|
編集 |
17という言葉の響きに重点を置いたら、
勢い余って17個に解体していたと
|
奈須 |
そういうわけではないんですが(笑)
|
武内 |
なんか言ってたよね
|
奈須 |
前にそれに関してはちょっと、公式見解らしきものを
述べたんだけど(註9)
|
武内 |
なんだっけ?線・・17・・・
|
奈須 |
切ったら17分割したというのが最終結論だけど・・・
(・・・・・・・・間・・・・・・・・)(註10)
|
奈須 |
・・・はぁー、恐いですな(笑)まあ、この、アルクェイドを
殺すところが一番初めのショックを与えるところだった
わけですが。あのシーンは書いてて楽しかったです。
もう、何も考えずに「終わったァ。いい出来だ!・・・寝よ」
それが、開けてみればこんな攻撃をされるとは(笑)
|
|
志貴君の学校
|
編集 |
同じ方からのBBSの書き込みを見たのですが(註11)
志貴の学校の謎ですね。志貴が2年3組なのに
何故シエルが3年B組なんでしょう?
|
奈須 |
これに関してはですね、他の学校はどうか
知らないんですが、自分のところは
学校側がA、B、C・・・で
生徒は1、2、3・・・と数えてたんですよ。Aが1で。
アルファベットで呼ぶのはあまりにも差別的と思う生徒が
2年1組、2年2組・・・と呼んでいる。教師側は
2−Bとか呼ぶし、そういうのを気にしない生徒もやっぱり
アルファベットで呼ぶ。自分の中ではその程度の
違いだったんですよ。自分の学校を常識に考えて
しまいましたが、普通だとたしかに商業科とかに
分かれてるように見えるんだーと。
逆にびっくりしましたね(笑)
|
|
埋葬機関と吸血鬼
|
編集 |
「月姫」世界のキリスト教会について質問です。
あの世界のキリスト教徒が吸血鬼に対して見せる
敵意というのはかなり常軌を逸していますが(註12)
|
奈須 |
そうですね。自分もそれを言われまして
たしかに異様っちゃあ異様ですなあ、と。これに関しては
本当に申し訳ないんですが、そう大きな理由は無いんですよ。
月姫世界における教会っていうのは、ともかく人間以外の
モノをすごく毛嫌いしている。元から人間外である
モノについては収拾の幅がききますから敵視に値しない。
元から種が違うからあまり敵視はしないんですけど。
「人間からなってしまったモノ」要するに、自分達に感染する
おそれがある現象に関しては病的なまでに排除したがる。
という理由付けがある程度ですか
|
編集 |
それは原始キリスト教のころから?
|
奈須 |
埋葬機関ができたあたりから歪み始めたんです。
埋葬機関というのはそれ専門に作られた機関ですから、
それ以外に存在意義が無いわけです。信仰も薄いですから
必要以上に自分達の役割をアピールしなくてはならなかった。
結果、だんだんエスカレートしていったというかたちですね
|
|
インドの死徒
|
編集 |
「カリー・ド・マルシェ」
|
一同 |
(爆笑)
|
編集 |
彼は色々と楽しいエピソードを持っていそうですが
|
奈須 |
カリー・ド・マルシェはその、なんと表現していいのやら(笑)
「猫娘亭」というHP(註13)の「日替わり月姫」という
マンガがありまして、カレクック(註14)が出てくるんです。
もう自分の中ではあのイメージでして・・・まずいなあ(笑)
まあ、とても愉快な人物です。死徒でありながら・・・
カリーに関してこんなにマジメに語ってもしょうがないと
思うんですが(笑)教会側からも見逃されてるというか
「あんなのは放っといてもオッケーだろう」っていうレベルで
見逃されてて、かつそれなりにシエルと仲がいい
|
OKSG |
で、今の話はどこまでが本当なんですか?(註15)
|
奈須 |
今のはけっこう、すべてOKよ(笑)
|
編集 |
埋葬機関という組織からすると「インドに行くぞ!」
というのはちょっと考えにくいシチュエーションでは
あるのですが。シエルの初仕事らしいですし
|
奈須 |
ですよねー。何故インド?って(笑)
|
|
殺人鬼と珈琲
|
編集 |
琥珀ルートで出てくる殺人鬼の語らいですが
|
奈須 |
前半アレで、後半シキが出てきて、っていうのは
皆さんこれまでにもうさんざんやってるわけです。
そこで、琥珀ルートでは知っているということを前提にして
早々にシキに退場していただくという、知っていることを
逆手に取った展開にしたわけです。
まあ、実はそれ以上にやりたかったことが一つだけありまして。
殺人鬼同士の会話っていうのをやりたいな、と。
で、無断で作ってしまったんですが。あの時の志貴は
クスリを盛られて理性が飛んでるんですよ。
で、わからずお互い地で話し合ってるというか・・・
志貴のアブない部分が前面に押し出されていて、かつ
シキの方もハイになっている。昔の志貴と話しているような
感覚でお互いその、ダラダラとしてるんだけど
なんだかすごくしっくりくるような会話をしている。
そういうのをやりたかった
|
編集 |
非常に印象深いシーンですが、いかんせん琥珀さんが・・・
|
奈須 |
ええ。影からこう(笑)
|
編集 |
ですね。裏で悪さをしているので少々わかりにくくて。
あれはすべて彼女の仕業なのですね
|
奈須 |
はい。彼女のセッティングというか・・・
がんばってますね琥珀さんも(笑)
|
|
紅赤朱は殺せるか?
|
編集 |
(志貴は)秋葉の紅赤朱(蜃気楼のような靄)だけ
殺すことができるのではないかという意見がありますが。
琥珀シナリオ作成時にそのような話は無かったのでしょうか?
|
奈須 |
紅赤朱を殺せる、殺せないという問題は実は
決めてあったんですよ。ただ、(掲示板などで)皆さん
各自で盛り上がっているのを見ますと、あえて
答えを言う必要は無いんじゃないかと。そういうわけで
ここでそういった話については決定は下しちゃだめかなあ、と
|
編集 |
「ネタバレ掲示板」などで最近あまり発言がないのは
|
奈須 |
中にはやっぱりすごい面白いことを言ってくれる方が
いますので。自分のつまらない意見を言うよりも
みんなに楽しんでもらいたいですね
|
|
鬼種について
|
編集 |
遠野の血や鬼種についてお聞きしたいのですが
|
奈須 |
遠野は本当に混ざり物が代を重ねてきたものなんです。
月姫世界においては鬼種というのは2種類いまして。
元から鬼と呼ばれる系統樹からして人間とは違う者と、
力ある者達が土蜘蛛だのなんだの呼ばれて
朝廷から追われて隠れ住むようになって、
生物的にちょっとおかしくなってしまった者がいます。
遠野の血に混じっているのは前者ですね(註16)
|
|
魔法と魔術
|
編集 |
魔法と魔術について
|
奈須 |
魔術師協会という「月姫」本編にはまったく関係ない
組織がありまして。魔法と魔術はきっかりと
分けられています。用語辞典で書いてますが、現時点で
魔法と認識できるものは5種類だけ。ということですね
|
編集 |
魔法の内容、気になるところではありますが
|
奈須 |
えーーーと、まほよ(註17)で1つ、アレで1つ、
あれで1つ・・・
|
武内 |
うーん、作品ごとのコアになってますんで
|
編集 |
今後に期待ですか
|
奈須 |
そうですね。きっかり世界を決めておいて、
月姫以外の作品の時にそれを憶えていると
「あれっ!?」と思うくらいの楽しみ方をさせたいなあと。
「ここで出てくるんだー」っていう
|
|
下つき姫
|
編集 |
最後に、某所で出てきた「下つき姫」について
お聞きしたいのですが
|
奈須 |
あれはですね、その、えー、どうかしてたと申しましょうか(笑)
98年の終わりごろ、まだプロットを人数分作ってるというころに
女性同士の絡みというのが必要なんじゃないかな、
と思ったんですよ。で、ちょうどそのころアルクとシエルの
敵対するシーンを書いてまして。んー、やるとしたらここか、
というわけでアルクェイドさんにがんばってもらおうかと(註18)
ただ、やんなくて良かったなあと(笑)
|
武内 |
初耳だったよ、下つき姫
|
奈須 |
ホント!?
|
武内 |
あの時はじめて聞いたよ
|
奈須 |
プロット見てみると書いてあるんよ。カッコがあって、
「ここでこうこうこうするのはどうでしょうか?
これがホントの下つき姫!なんちゃって!」て(笑)
|
編集 |
それは、いつもの悪戯書きですか?
|
奈須 |
いや、ワープロでこういうのはどうかってしっかりと。
ちょろっとこう、OK出るかなー?、と
|
武内 |
キレイに忘れてるわ、それ(笑)
|
|
to be continued…
|